コロニアル屋根の天窓、アスベストは大丈夫? 製造年で分かる「入っている・いない」と、天窓工事で気をつけること
コロニアル(スレート)屋根は、2001年を境にアスベストを含まない製品に切り替わりました。メーカー(ケイミュー)の公式資料をもとに、商品ごとの製造時期と含有率、ふだん心配いらない理由、天窓の交換・修理・撤去で屋根材を外すときに気をつけることを、表にまとめました。
「天窓を替えたいんですが、うちの屋根にはアスベストが入っているって聞いて。工事しても大丈夫ですか」
コロニアル(スレート)屋根のお宅から、こんなご相談をいただくことがあります。コロニアルは、日本でいちばん多く使われているスレート屋根で、天窓の付いた家にもとても多い屋根材です。
アスベストと聞くと、不安になりますよね。この記事では、メーカー(ケイミュー株式会社)の公式資料と国の資料をもとに、「どこまでが心配いらなくて、どこからが気をつけるところか」を、天窓の工事に引きつけて整理します。怖がらせる記事ではありません。
01まず結論から
- コロニアルは、2001年(平成13年)を境に、アスベストを含まない製品に切り替わりました
- 2001年より前に作られたコロニアルには、アスベストが入っています
- ただし、屋根に載っているだけなら、ふだんの暮らしで心配はいりません
- 気をつけるのは、屋根材を「割る・はがす・切る」工事のとき。天窓の工事は、天窓のまわりの屋根材を外すので、ここに当てはまります
- いま交換の時期を迎えている天窓(設置から25年前後)は、ちょうどアスベスト入りのコロニアルの時代の家に付いていることが多いです
順番に説明します。
02コロニアルとは? どこが作っている?
コロニアルは、セメントに繊維を混ぜて薄い板にした屋根材です。「カラーベスト」というシリーズの商品名で、「スレート」とも呼ばれます。厚さ5mmほどの平らな板が、段々に重なっている屋根です。
作っているのは、ケイミュー株式会社。もとは、コロニアルのメーカーだったクボタと、松下電工(今のパナソニック)の屋根・外壁の部門が、2003年12月に一つになってできた会社です。
ケイミューは、前身の2社が作っていた石綿(アスベスト)入りの建材について、「石綿(アスベスト)に関する見解書」を公開しています。商品ごとに、製造していた期間と、石綿がどれくらい入っていたかまで載っています。下の表は、この資料から主な商品を抜き出したものです。
03商品ごとの「含む・含まない」
アスベストを含むもの
| 商品名 | 製造された期間 | 石綿の含有率 |
|---|---|---|
| コロニアル | 1961〜1994年(昭和36〜平成6年) | 10〜25% |
| ニューコロニアル | 1979〜2001年(昭和54〜平成13年) | 10〜15% |
| グリシェイド・セイバリー・スペリアル | 1996〜2001年(平成8〜13年) | 10〜15% |
| ザルフ | 1997〜2001年11月(平成9〜13年) | 0.1〜1% |
| アーバニー | 1982〜1994年(昭和57〜平成6年) | 5〜15% |
| ニューアーバニー | 1994〜2001年11月(平成6〜13年) | 0.1〜1% |
| フルベスト20(松下電工) | 1988〜2003年(昭和63〜平成15年) | 時期により5%以下〜15% |
アスベストを含まないもの
| 商品名 | 製造された期間 |
|---|---|
| コロニアルNEO | 2001年4月〜 |
| グリシェイドNEO | 2001年9月〜 |
| セイバリーNEO・スペリアルNEO | 2001年12月〜 |
| ザルフ(2001年12月以降の製造分)・ザルフグラッサ | 2001年12月〜 |
| レサス・シンフォニー(松下電工) | 1999〜2006年ごろ |
| コロニアルクァッド・コロニアルグラッサなど今の商品 | 現在販売中 |
出典は、ケイミュー株式会社「石綿(アスベスト)に関する見解書(第7版、令和7年12月1日)」です。全商品の一覧は、ケイミューの公式サイトで見られます。ケイミューは「設立以降に製造販売する建材には、石綿に係る法規制の対象となる商品はない」と書いています。今の新築や屋根の工事で使うコロニアルは、すべてアスベストを含みません。
国の規制の流れ(厚生労働省の資料より)
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2004年10月1日 | 石綿を1%を超えて含む建材などの製造・使用が禁止 |
| 2006年9月1日 | 基準が0.1%超に引き下げられ、石綿を含む製品の製造・使用が全面的に禁止 |
コロニアルは、法律で禁止されるより3年ほど早く、2001年に切り替わっていたことになります。
04「無石綿」と書いてあっても、それだけで決めない
上の表で、「ザルフ」が2回出てくるのに気づいたでしょうか。同じザルフでも、2001年11月までの製造分は石綿を0.1〜1%含み、2001年12月からの製造分は含みません。
しかも前のほうは、当時「無石綿」と表示して売られていました。ケイミューの見解書によると、2006年の法改正の前は、1%以下の石綿を測る方法がなかったそうです。法改正で測り方が見直され、分析し直したところ0.1%を超えるものが見つかり、規制の対象に加えた、という経緯です。
ですから、屋根材の裏に「無石綿」と書いてあっても、それだけでは判断しません。商品名と、作られた時期で判断するのがいちばん確かです。
05天窓の交換時期と、アスベストの時代は重なっている
天窓は、設置から25年ほどが交換の目安です。今年から25年さかのぼると、2001年。コロニアルがアスベストを含まない製品に切り替わったのと、ちょうど同じころです。
| 家を建てた時期 | 屋根のコロニアル | 天窓の状態の目安 |
|---|---|---|
| 〜2000年ごろ | アスベスト入りの可能性が高い | 25年を過ぎ、雨漏りや交換のご相談が多い時期 |
| 2001〜2006年ごろ | 含むもの・含まないものが両方あった時期 | 20年前後。パッキンや板金の傷みが出はじめる時期 |
| 2006年9月以降 | 含まない | まだ点検で様子を見られることが多い |
つまり、いま天窓の雨漏りや交換を考えている家の多くは、アスベスト入りのコロニアルが載っている可能性がある、ということです。だからといって慌てる必要はありません。ただ、工事のやり方と費用には関わってくるので、知っておいてほしいのです。
06ふだんの暮らしでは、心配いりません
コロニアルの石綿は、セメントでがっちり固められています。
ケイミューは、石綿入りのコロニアルが載った建物のすぐ近くで、空気中の石綿を測った結果を公表しています。施工から15〜33年たった屋根で、空気1Lあたり0.20本未満〜0.51本。法律の基準(1Lあたり10本)を大きく下回っています。
屋根に載っているだけで、家族の体に影響するものではない、ということです。天窓の下で暮らしていても、それは同じです。
07天窓の工事で、屋根材をどこまで触るか
アスベストが問題になるのは、屋根材を壊して粉じんが出るときです。天窓の工事は、どの方法でも天窓のまわりの屋根を触ります。直し方ごとに、屋根材への手の入り方が違います。
| 直し方 | 屋根材をどうするか | アスベスト入りの屋根では |
|---|---|---|
| 天窓の交換 | 天窓のまわりの屋根材を外して、古い天窓を外し、防水シートと水切りを新しくしてから、まわりを納め直す | 天窓のまわりの屋根材を外すので、工事の前の事前調査と、粉じんを出さない手順が必要 |
| 板金カバー(部分修理) | 古い天窓は外さず、板金を上からかぶせて雨の入り口をふさぐ | 交換や撤去より、屋根材を外す範囲が小さい。ただし触る範囲は現場で変わる |
| 撤去(天窓を塞ぐ) | 天窓を外して開口をふさぎ、天窓のあった部分を屋根材で仕上げる | 天窓のまわりの屋根材を外すので、交換と同じく事前調査と手順が必要。新しく張る屋根材は、アスベストを含まない今のコロニアル |
屋根材を外す工事では、法律に沿って、
- 工事の前に、石綿が入っているかの事前調査(2023年10月からは、講習を修了した人が調査することが必要)
- 工事の内容によっては、調査の結果を役所に報告
- 水で湿らせて粉じんを抑え、外した屋根材は袋に詰めて、決められた処分場へ運ぶ
といった手順が必要になります。そのぶん、費用も上がります。見積りを比べるときは、この調査と処分の費用が入っているかも確かめてください。
天窓ごとの直し方の考え方は、修理・交換・撤去はどれを選ぶ?にまとめています。
08切り替わった直後の屋根材は、割れやすい
ここからは、メーカーの資料にはない話です。私たち屋根屋が、盛岡・岩手の現場で見てきたこととして書きます。
アスベストの代わりの繊維に切り替えたばかりのころ(2000年前後〜2000年代半ば)の屋根材は、
- 築10〜15年ほどで、ヒビや欠けが目立ってくる
- 板のふちが、ポロポロと崩れてくる
- 屋根に上がると、パキッと割れやすい
という屋根を、何度も見てきました。アスベストは、屋根材を丈夫にする役目もしていました。それを別の繊維に置き換えた最初のころの製品は、耐久性で苦労があったのだと思っています。
天窓の工事では、天窓のまわりを歩き、屋根材を外して納め直します。割れやすい屋根では、まわりの屋根材を一枚ずつ外し、傷んだぶんは新しい屋根材に取り替えて納めます。こうした屋根材は、塗装をしても割れは止まりません。屋根全体の傷み方によっては、天窓の工事と一緒に、屋根のカバー工法や葺き替えを考えたほうがよいこともあります。
09わが家はどれ? 建てた年で、だいたい分かります
| 新築した時期 | 目安 |
|---|---|
| 〜2000年ごろ | コロニアル・ニューコロニアルの時代。アスベスト入りの可能性が高い(ふだんの心配はいりません) |
| 2001〜2004年ごろ | 含むもの・含まないものが両方出回っていた時期。商品名で判断します |
| 2004年10月〜2006年8月 | 1%を超えて含む建材の製造が禁止された後。ケイミューの製品なら含みません |
| 2006年9月以降 | 法律で全面禁止された後の建物。心配はほぼありません |
ただし、屋根材は「作られた年」と「屋根に載せた年」が少しずれることがあります。在庫の屋根材を使うこともあるからです。新築した年は、あくまで目安と考えてください。
もっと確実に調べるには
- 新築時の書類を見る … 仕様書や図面、確認申請書に、屋根材の商品名(例:カラーベスト コロニアルNEO)が書かれていることがあります
- 商品名で調べる … 国土交通省と経済産業省の「石綿(アスベスト)含有建材データベース」や、ケイミューの見解書で、製造期間と含有の有無を確かめられます
- それでも分からなければ、屋根屋に見てもらう … 屋根材の形や色、裏側の表示、傷み方で、時期の見当がつくことがあります
ご自身で屋根に上がるのは、とても危険です。とくに切り替え直後の屋根材は割れやすく、天窓のガラスの上に乗ると割れることもあります。屋根の上の確認は、職人に任せてください。
10まとめ
- コロニアルは、2001年(平成13年)を境にアスベストを含まない製品に切り替わった(ケイミュー公式資料)。2006年9月以降は法律で全面禁止
- 入っていても、屋根に載っているだけなら、ふだんの暮らしで心配はいらない
- 天窓の交換・撤去は、天窓のまわりの屋根材を外すので、事前調査と粉じんを出さない手順が要る。板金カバーは、外す範囲が小さい
- いま交換の時期の天窓は、アスベスト入りのコロニアルの時代の家に付いていることが多い
- 「無石綿」の表示だけで判断せず、商品名と製造時期で判断する
- 切り替え直後の屋根材は割れやすく、塗装では長持ちしにくい(現場での実感)
「うちはどっちだろう」と思ったら、家を建てた年と、屋根と天窓を遠くから撮った写真を、LINEで送ってください。屋根材の時期の見当と、天窓の直し方の考え方をお返事します。コロニアル屋根の天窓交換の料金は、天窓交換の料金表の屋根材別の表に載せています。コロニアル屋根の天窓の傷み方は、仙台市に多いカラーベスト(コロニアル)屋根と、天窓、屋根材ごとの工事の違いは屋根材がちがっても、天窓は交換できる?にも書いています。