ベルックス屋根職人による解説

ベルックス(VELUX)の天窓とは。
歴史・種類・雨漏りと交換の目安。

日本の住宅でいちばん多く使われてきた天窓、ベルックス。1941年にデンマークで生まれた会社の歩みから、いまの天窓の種類、25年を過ぎた天窓がなぜ漏れるのかまで。ベルックスの天窓を交換・修理している屋根職人が、調べて確かめたことと、現場で見てきたことをまとめました。

01ベルックス(VELUX)とは

ベルックス(VELUX)は、デンマークで生まれた天窓のメーカーです。屋根に付ける窓だけを作りつづけてきた会社で、公式サイトでは自分たちを「天窓の世界的リーダー」と説明しています。公式サイトによると、販売や製造の拠点は37か国にあり、従業員は世界でおよそ1万1,700人です。

日本では、日本ベルックス株式会社が天窓と付属品の販売と保守をしています。本社は東京都渋谷区千駄ヶ谷です。

天窓屋が屋根に上がって見る天窓も、ほとんどがベルックスです。雨漏りのご相談をいただいて現地に行くと、枠の内側に「VELUX」のプレートが付いています。このページでは、屋根職人の立場から、ベルックスという会社と天窓について、調べて確かめられたことと、現場で見てきたことを分けて書きます。

天窓2基を新しいベルックスに交換した屋根
天窓2基を新しいベルックスに交換した屋根(天窓屋の施工)

02ベルックスの歩み

  • 1941年 … デンマークのヴィルム・カン・ラスムセン(Villum Kann Rasmussen)が創業。暗い屋根裏を、光と風の入る部屋に変えたい、という考えから始まりました。
  • 1942年 … 最初の天窓を学校の屋根に納めます。このとき「VELUX」という名前が付きました。VE は換気(ventilation)、LUX はラテン語の光。「風と光の窓」という意味です。
  • 1981年3月 … 日本ベルックス株式会社が設立されます。
  • 2010年4月 … 日本で、いまのスカイビューシリーズにつながる新しい製品が発売されます。

日本法人ができてから40年以上。1980年代から90年代に建てられた家には、当時のベルックスの天窓がたくさん付いています。その天窓が、いま25年、30年を過ぎて、交換の時期を迎えています。

03日本でのシェア

日本の住宅用の天窓で、ベルックスが何割を占めているか。公的な統計は見つけられませんでした。確かめられたのは、次の2つです。

  • 住宅リフォームの業界紙(リフォーム産業新聞、2015年)は、日本ベルックスを「天窓メーカーの国内最大手」と書いています。
  • 住宅会社のでんホームが2020年に日本ベルックスの担当者に取材した記事では、日本の天窓市場のシェアは「約60%以上」と説明されています。

どちらもメーカー側の説明にもとづく数字なので、「6割」と言い切ることはしません。ただ、現場の実感とは合っています。天窓屋が雨漏りの相談で屋根に上がると、付いているのはほとんどがベルックスです。日本の住宅で、いちばん多く使われてきた天窓と言ってよいと思います。

04取り付け方と防水の変遷

天窓の雨漏りは、天窓そのものよりも、屋根とのつなぎ目で起きることが多いです。そのつなぎ目の納め方は、この数十年で大きく変わりました。

いまの納め方

いまのベルックスの天窓には、屋根材ごとに専用の水切りが用意されています。公式サイトに載っているのは、次のようなものです。

  • スレート用水切り(スレート、カラーベストなど、厚さ8mm以下の屋根材)
  • 瓦用水切り(波瓦、S瓦、和瓦など、起伏のある屋根材)
  • 鋼板用上部水切り、鋼板掴み施工(金属屋根)
  • 2基以上を並べるときの連窓水切り
  • 積雪地では、天窓の上側に雪を逃がす「ジャンプ台」を現場でつくる

水切りはアルミ製で、天窓の上・横・下を囲んで、雨水を屋根の上へ流します。スレート用・瓦用の専用水切りと組み合わせた製品では、天窓本体だけでなく、屋根とのつなぎ目まで保証の対象にしています。古い天窓を取り替えるための防水シートや見切り材も、交換用の部材として用意されています。

古い天窓の納め方

25年以上前の天窓を屋根の上で見ると、いまとは留め方が違うものがあります。天窓屋がよく見るのは、外側の板金(カバー)を上から直接ビスで留めている天窓です。職人のあいだで「脳天打ち」と呼ぶ留め方で、ビスの頭のパッキンが年数で硬くなると、ビスの穴そのものが雨の入り口になります。

天窓のまわりの防水紙(ルーフィング)も、当時のものは25年を過ぎるころから傷みが出ます。天窓のまわりは水が集まるところなので、屋根のほかの部分より先に傷みます。

切り替わった時期について

「何年までが古い留め方で、何年からいまの方法か」。ここははっきり書きたいところですが、公式の資料では、切り替えの年を確かめられませんでした。確かめられたのは、いまのスカイビューシリーズにつながる製品が2010年4月に発売されたこと、そして日本ベルックス自身が、築20〜30年の屋根を葺き替えるときには天窓も一緒に交換するようすすめていることです。

現場の実感としては、雨漏りのご相談のほとんどが、設置から25年を過ぎた天窓です。年代で線を引くより、「設置から25年」をひとつの目安にするほうが、実際の傷み方に合っています。

05いまのベルックスの天窓

日本ベルックスの公式サイトに載っている、いまの製品(2026年10月時点)をまとめます。型番は公式の表記のままです。大きく3つのシリーズがあります。

スカイビューシリーズ(手の届かない高い場所に)

吹き抜けや階段の上など、手の届かない位置に付ける天窓です。日本の住宅でいちばんよく見るのが、このシリーズです。

  • FS フィックスタイプ … 開け閉めしない、明かり取りの天窓。値段をおさえて光を入れられます。
  • VS 手動タイプ … 外へ押し出して開ける天窓。網戸が標準で付き、長い操作ロッドで開け閉めします。
  • VSE 電動タイプ(公式サイトでは「VS電動タイプ」とも表記) … リモコンで開け閉めする天窓。雨を感じると自動で閉まるセンサーが標準で付いています。
  • VSS ソーラータイプ … リフォーム専用。ソーラーパネルと蓄電池を内蔵していて、電気の配線工事なしで電動の天窓にできます。
  • FS SR スチール補強天窓 … 木枠をスチールで補強した、30分耐火の屋根に対応するフィックスタイプ。

ルーフウインドウシリーズ(手の届く場所に)

ロフトや小屋裏など、手の届く位置に付ける天窓です。窓の真ん中を軸にして回転するので、外側のガラスを室内から拭けます。

  • GGL / GGU 手動タイプ … 中軸回転の天窓。GGL は木枠、GGU は樹脂の白い枠です。閉めたまま換気できる機能が付いています。
  • GGU 寒冷地タイプ … 三層(トリプル)ガラスで断熱を高めた天窓。
  • GGH タイプ … 排煙に使える電動の天窓。

フラットシリーズ(平らな屋根・ゆるい勾配に)

  • FCM フィックスタイプ … 勾配 0°〜31° の、平らな屋根やゆるい勾配の屋根に付けるフィックスタイプ。現場で組んだ枠にかぶせる形です。

タイプの早見表

型番開け閉め使える屋根の勾配向いている場所
FS開かない(フィックス)2.5寸以上明かり取り
VS手動(操作ロッド)2.5寸以上高い場所で換気もしたい
VSE電動(リモコン・雨センサー)2.5寸以上高い場所で換気もしたい
VSS電動(ソーラー・配線なし)—古い天窓からの交換
GGL / GGU手動(中軸回転)GGL 5.8寸以上/GGU 4寸以上ロフト・小屋裏
GGH電動(排煙)4寸以上排煙が必要な場所
FCM開かない(フィックス)0〜6寸平らな屋根・ゆるい勾配

ガラス

いまのスカイビューシリーズのガラスは、外側が強化ガラス、室内側が合わせガラスまたは網入りガラスの複層ガラスです。熱を通しにくくするLow-Eコーティングが入っていて、紫外線は96〜99%カットされます。古い天窓から取り替えると、夏の暑さと冬の結露がやわらぐのは、このガラスの違いが大きいです。

ブラインド

天窓の暑さやまぶしさは、専用のブラインドでおさえられます。

  • プリーツ … 直射日光をやわらかい光に変える、いちばん基本のブラインド。
  • ハニカム(遮光タイプ) … 部屋を暗くできる遮光のブラインド。寝室に向いています。
  • ベネシアン … アルミの羽根の角度で光の量を調節します。
  • ローラー / シェスタ(遮光) … 手の届く GGL / GGU 用の手動ブラインド。

高い場所の天窓には、配線のいらないソーラー式(リモコン操作)のプリーツとハニカムがあります。ブラインドは窓の動く側に付くので、日よけを下ろしたまま窓を開けて風を通せます。

サイズ

サイズは、幅と長さの組み合わせで何種類もあります。公式サイトでは C01(幅550×高さ700)、M04(幅780×高さ980)のように、記号で呼んでいます。天窓屋で交換している天窓は 580〜1375 までのサイズで、いちばん多いのは 780×975 です。

ご自宅の天窓のタイプとサイズは、枠の内側に付いているプレート(銘板)で分かります。見分け方は、うちの天窓はどのベルックス? 種類とサイズの見分け方にまとめています。

06屋根職人が現場で見ていること

ここからは、天窓屋が屋根の上で見てきたことです。

ベルックスの天窓は、丈夫です

先に言っておくと、ベルックスの天窓そのものは丈夫です。ガラスが割れて漏れることは、まずありません。漏れるのは、25年たって傷む消耗する部分です。

漏れる場所は、だいたい決まっている

  • ガラスまわりのパッキン … ゴムが硬くなってやせ、ガラスとのあいだに髪の毛ほどのすき間ができます。
  • 上から打たれたビス … ビスの頭のパッキンが縮んで、ビスの穴から水が入ります。
  • 天窓のまわりの防水紙と板金 … 屋根材はまだ使えても、下の防水紙が先に寿命を迎えます。

「大雨の日だけ漏れる」「横なぐりの雨のときだけシミが出る」という天窓は、このどれかであることがほとんどです。くわしくは、ベルックスの天窓が、25年を過ぎて雨漏りする3つの理由に書いています。

部分的に直しても、次が出てくる

パッキンだけ、ビスだけを直しても、25年を過ぎた天窓は、ほかのところから順番に漏れてきます。天窓屋が交換をおすすめするのは、そのためです。交換では、天窓だけでなく、まわりの防水シートと水切りの板金まで新しくします。

古い天窓でも、同じ場所に新しい天窓が入る

「25年以上前の天窓で、同じものはもう売っていないのでは」と心配される方が多いです。ベルックスの天窓は、古い型でも、現地で採寸して合う新しい天窓を選べます。屋根全体をやり直す必要はなく、天窓のまわりだけ屋根材を切って開けて、取り替えます。開かないタイプから開くタイプへ、手動から電動へ、とタイプを変えることもできます。

長持ちさせるコツ

  • 室内側のガラスと木枠を、年に何度か拭く。そのとき、木枠の角にシミがないか見る
  • 冬の結露は、こまめに拭き取る
  • 開け閉めできる天窓は、晴れた日にときどき動かす
  • 屋根の上の落ち葉や汚れは、自分で取らない。屋根の点検や塗装のついでに、職人に見てもらう
  • 屋根の塗装や葺き替えを考えたら、天窓も一緒に考える

屋根だけ新しくして天窓を古いまま残すと、数年後に天窓から漏れて、新しい屋根をまためくることになります。これは日本ベルックスも同じことをすすめています。

07保証と、交換の目安

メーカーの保証

日本ベルックスは、製品に10〜20年の保証を設けています(対象の部分によって期間が違います)。設置から10年目の点検(10年目安心点検)も案内しています。保証の内容と条件は変わることがあるので、日本ベルックスの製品保証のページで確かめてください。

メーカーの保証は、製品の製造上の不具合が対象です。年数がたって傷んだもの(経年劣化)や、取り付けの工事が原因のものは対象になりません。

天窓屋の保証

天窓屋の工事には、10年の防水保証が付きます。これは天窓屋(瀧澤屋根工業)が工事に対して付ける保証で、メーカーの製品保証とは別のものです。

交換の目安は、設置から25年

日本ベルックスは、天窓の設計耐用年数を25〜30年としています。天窓屋の現場の感覚でも、交換を考えはじめる目安は設置から25年です。雨漏りしてから直すより、漏れる前に取り替えたほうが、天井や木枠の補修がいらない分、全体の費用はおさえられます。

交換を考えたいサインは、天窓の寿命は何年? 交換を考えたい5つのサインにまとめています。修理・交換・撤去のどれを選ぶかは、ベルックスの天窓、修理・交換・撤去はどれを選ぶ?をご覧ください。

08出典と、このページについて

このページは、天窓屋(運営:瀧澤屋根工業)が、屋根工事店の立場でまとめたものです。天窓屋はベルックスの販売代理店ではありません。 ベルックスの天窓の交換・修理・撤去を行う屋根工事店です。そのため、ベルックスの製品の値段は載せていません。

会社と製品についての記述は、2026年10月に次のページで確かめました。製品の仕様や保証は変わることがあります。最新の内容は、公式サイトでご確認ください。

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